とあるバーの扉を開けると
カウンターに見知った顔が。
見知った顔はわたしを見て
かなり驚いている。
「こんなところで何やってるんだよ~」
わたしの店のスタッフだった。
「ちょうどマスターの話してたところで」
「悪口言ってたな」
「言ってませんよ。ほめてたんです」
「ほんとか?」
「ほんとですよ」
すっかり気を良くしたわたしは、
とりあえずジントニックをもらい、
それをすすりながらバックバーを眺めていると
ふと気になるボトルを見つけた。
しかもその」黒い外観がこっちにおらおらと
オーラを送っているではないか。
「ん? マスターあれなに?」
老眼のわたしにとって
ここからではその姿がよくわからない。
とマスターが目の前においてくれたのが
「季の美です」
出た~!
先日『季の美』の講習会に行ったばかりだ。
「ショットで一杯くださ~い」
テイスティンググラスに注いでもらった。
むむ、この複雑な香りはまさしく季の実。
ストレートで飲んでうまいジンなど
そうそうあるものではない。
(あくまでも個人的な意見です)
じつにうまい。こんなにうまいと思ったジンは
初めてかもしれない。
(講習の影響もあると思いますが)
「じゃあ今度はギムレット作って。あ、二杯ね」
季の美とビーフィーターでそれぞれギムレットを。
比べ飲んでみるとぜんぜ~ん違った。
季の実のギムレットは
ライム以外に何か果実を加えたようなふくよかさがある。
こんな不思議な味のギムレットは初めてだ。
しかも、じつにうまい。
こんなにうまいと思ったギムレットは
初めてかもしれない。
(再び講習の影響もあると思いますが)
またまた気を良くしたわたしは、
それからさらに数杯のウイスキーを飲み、
前後不覚になって自転車で帰りまして
翌日は死人のように夕方まで呆然としておりました。