各蒸留所別の加水について
FRAPIN:フラパン
フラパンはの加水法は、毎年少しずつ加水する方式を取っています。
熟成開始後、最初の2年(VSとして出荷できるまで) で加水によって72%→56%までアルコール度数を下げているそうです。その後は1年間に5~10%程度ずつアルコール度数を下げていきます。VSOP(4年熟成)として出荷できるまで平均して1年間に8%ずつアルコール度数を下げている計算になります。
72%(蒸留直後)→64%(1年目)→56%(2年目)→48%(3年目)→40%(4年目)
この方法は毎年加水量やアルコール度数を調整する必要があるため、かなりの手間と人権費を要しますが、最も味を損なわない加水方法と思われます。
DELAMAIN:デラマン
デラマンは少し変わっていて、誰にも真似できない神がかり的な加水手法を取り入れています。
デラマンはネゴシアン(原酒買い取り業者) なので、複数の製造者から15年程度熟成されたコニャックを買い取ります。それらのコニャックをブレンド・熟成させてデラマンのコニャック として出荷しています。
デラマンは加水にフェーブルと呼ばれるものを使っています。
フェーブルとは蒸留水とコニャックを混ぜ合わせ、何十年か寝かせた液体の事です。デラマンの場合はアルコール度数15%程度のフェーブルを使用しています。その液体をトノーという大きな容器に入れて保管しています。
そのフェーブルを8年間にわたり少しずつ加えていきアルコール度数を下げていきます。8年目以降はフェーブルを加えなくても自然にアルコール度数が下がるのを待って、ちょうど40%程度になるように調整を行っているようです。
ちなみに加水作業を行いやすいよう、デラマンの熟成樽は積み上げられておらず、平置きされています。
そのフェーブルを使用した加水調整は、アルコールと水がバラバラにならず、風味を損なわないコニャックが仕上がります。
COURVOISIER:クルボアジェ
クルボアジェはVSでは加水を行い、XOになると加水を行いません。
PAUL GIRAUD:ポールジロー
ポールジローはまた少し変わっています。
ポールジローの熟成所はシャラント川のほとりにあるため、とても湿度が高く、アルコール度数の自然低下がかなり早いスピードで進みます。そのため15年熟成であっても加水することなくアルコール度数は40%近くまで下がるそうです。