ウイスキーについて

ウイスキーの歴史

ウイスキーの発祥地に関してはいまだ定まらず、アイルランドかスコットランドかが有力とされています。

【アイルランド説】

1172年にイングランド王のヘンリー2世がアイルランドに侵攻した際、地元民がウスケボーなる大麦の蒸留酒を飲んでいたとの報告を兵士から受けたとされています。

【スコットランド説】

1494年、スコットランド王室の記録に「修道士にアクアヴィテを造らせた」とあります。

アクアヴィテとはラテン語で命の水の意。これはウイスキーに限らず蒸留酒全般の語源で、これがゲール語に訳されてウシュク・ベーハーとなり、やがてウスケボー、ウイスキーと変化していったとされています。

ウイスキー密造時代

ウイスキーが生まれた当初は、樽熟成など一切なく、無色透明なままを飲んでいました。それが、ひょんなきっかけから、ウイスキーは樽詰めされるようになりました。

そのきっけというのが、じつは密造なのです。

17世紀から19世紀にかけ、スコッチウイスキーには多大な税金がかけられていました。

その重税から逃れるべく、生産者はスコットランド北部の山深いハイランドの地に潜伏し、ウイスキーを造るようになりました。

その際、政府の目から逃れるため、蒸留したウイスキーを木樽に詰めて保存したというわけです。

その苦肉の策で隠したウイスキーを飲んでみたところ、荒々しい透明な液体はまろやかで風味豊かな琥珀色の液体に変化を遂げていたのです。

その後、課税差別の撤退や密造者への罰金の強化を経て、酒税法が改正された翌年の1824年、政府公認第一号としてグレンリベット蒸留所がライセンスを取得しました。

その後、密造業者たちも次々とライセンスを取得し、密造摘発も終息した1874年に密造時代は終わりを告げることとなりました。

アメリカンウイスキーの歴史

【ウイスキー戦争】

スコットランド系移民とアイルランド系移民(スコッチ・アイリッシュ)がアメリカのペンシルバニアやメリーランドに移民。そこで農業のかたわら、ライ麦を原料としたウイスキーを造っていました。

1783年にアメリカ独立戦争が終結すると,政府は国家材再再建のために1791年、ウイスキーに税金をかけました。

この課税は余った穀物でウイスキーを造っていたスコッチ・アイリッシュにとっては生活を圧迫する事態となり、あちこちで暴動が起こりました。ウイスキー戦争の勃発です。

暴動鎮圧後、彼らは課税を逃れるために当時は政府管轄外であったテネシーやケンタッキーに移住し、その地で採れるトウモロコシを原料にウイスキーを造りました。これがバーボンウイスキーの誕生となります。

アメリカ独立戦争の際に味方をしたフランス。そのフランスのブルボン朝の名をケンタッキーのバーボン郡(ブルボン)として残したのです。

【禁酒法】

南北戦争の終結後、アメリカンウイスキーの企業化が進むと20世紀にはウイスキー黄金時代を迎えます。そんな中、ピューリタン(清教徒)が起こしていた運動により1920年、全国禁酒法が発効されました。

この悪名高き禁酒法によって、ほとんどの蒸留所は閉鎖に追い込まれました。

しかしこの禁酒法、製造や販売は禁止しても飲むこと自体はオッケーという、なんともはた迷惑な法律でした。

ではアメリカ国民は、いったい何を飲んでいたのでしょう。それはカナディアンウイスキーなのです。

アメリカ禁酒法以降もカナダは輸出制限を一切しませんでした。当時密造を行っていたギャングたちの手によって、大量のカナディアンウイスキーが密輸されたのです。

そして1933年、長い禁酒法時代は終わりをようやく告げたのでした。


世界のウイスキー

現在、さまざまな国でウイスキーが造られています。その中でスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5カ国が技術、品質、生産量などあらゆる面で優れたウイスキー生産国として知られ、世界の5大ウイスキーと呼ばれています。

【スコッチ・ウイスキー】 ⇒ スコッチウイスキーのページはこちらから

英国スコットランドで造られるウイスキーをいいます。仕込みの際に、麦芽を泥炭(ピート)とよばれる一種の炭で燻蒸するために、独特の香り(スモーキー・フレーバー)を持つのが特徴です。

【アイリッシュ・ウイスキー】

アイルランド(アイルランド共和国と英国北アイルランド)で造られるウイスキーをいいます。大麦麦芽(モルト)のほかに、未発芽の大麦やライ麦、小麦なども原料として使用します。

最大の特徴は、ピートによる燻蒸を行わないことと、単式蒸留器による蒸留回数が3回であることです。これによって通常のウイスキーよりもまろやかに仕上がっています。

【アメリカン・ウイスキー】

バーボンに代表されるアメリカのウイスキーをいいます。主原料にトウモロコシを用いるのは他のウイスキーにはない特徴です。

【カナディアン・ウイスキー】

カナダで造られるウイスキーをいいます。トウモロコシを主原料とするベース・ウイスキーとライ麦を主原料とするフレーバリング・ウイスキーをブレンドして造られます。甘めのおとなしい風味が特徴です。

【ジャパニーズ・ウイスキー】

日本産のウイスキーをいいます。1918年、壽屋(現:サントリーホールディングス)に在籍していた竹鶴政孝が、留学していたスコットランドからスコッチ・ウイスキーの伝統的製法を持ち帰ったのが事の始まりです。

竹鶴氏(テレビまっさんのモデルとなった人物)は1923年開設の山崎蒸溜所の初代所長となり、のちにニッカウヰスキーを創業した人物で知られています。

【ウエルシュ・ウイスキー】

古くから英国ウェールズで製造されていたウイスキーをいいます。1894年に歴史が途絶えたのち、2000年に製造が再開され、2004年3月1日に初出荷されました。現在もその製造は続いています

【インドのウイスキー】

スコッチ原酒を国内で熟成・ブレンド・瓶詰めしています。

【台湾のウイスキー】

2008年からリリースされた「カバラン」は、世界のコンテストで金賞を受賞。熟成期間を18か月前後とし、亜熱帯はウイスキー造りには向かない、熟成期間は長い方が良質という常識を見事に覆しました。

穀物の違いによるウイスキーの分類

大きく分ければモルト(大麦麦芽)だけで造られるモルトウイスキーと、トウモロコシなどの穀物とモルト、もしくは発芽していない大麦で作るグレーンウイスキーとに分かれます。

【モルト・ウイスキー】

大麦麦芽(モルト)のみを原料とするもので、一般的に、単式蒸留器(ポットスチル)で二回、もしくは三回蒸留します。

スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズウイスキーがこちらのタイプに属します。

【グレーン・ウイスキー】

トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀物を主原料に、大麦麦芽を加えて糖化・発酵させたウイスキーです。連続式蒸留器(パテントスチル)によって蒸留されます。

モルトウイスキーに比較すると、やわらかく飲みやすいのが特徴です。

バーボンを代表とするアメリカン・ウイスキーやカナディアン・ウイスキーなどは、このタイプになります。

【ブレンデッド・ウイスキー】

10数種から数十種のモルトウイスキーとグレーンウイスキーを合わせ、さらに樽熟成したウイスキーをいいます。

スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズウイスキーなどがそれにあたります。

アメリカンウイスキーの中のブレンデッド・ウイスキーは、別の造り方になります。バーボンウイスキーが二割、そこにほかのスピリッツをブレンドします。非常にライトで飲みやすいテイストに仕上がります。

ウイスキーの製法について

原料は水、穀物、酵母の三つが基本です。

【水】

ウイスキーに使う水は仕込み水と呼ばれ、全工程において大量に使用されます

ウイスキー造りにとって良質な水はウイスキーの品質を決める大きな要素のひとつ。仕込み水には、異味異臭がなく、飲んでおいしい水であるとともに、酵母の栄養となるミネラル分がバランス良く含まれた天然水が望ましいとされています。したがって、ウイスキー蒸溜所の立地選定には、必然的にその土地の水質の良さが求められるというわけです。

【穀物】

ウイスキーの種類によって細かな規定があります。モルトウイスキーに使用されるのは大麦を発芽させたモルト(大麦麦芽)のみです。大麦には二条大麦と六条大麦がありますが、主に二条大麦が使われます。

グレーンウイスキーやバーボンウイスキーには、モルトのほかにトウモロコシや未発芽の大麦、ライ麦、小麦などの穀類が使われます。使用される穀物の種類や比率で味わいが変わります。

【酵母】

酵母菌、もしくはイースト菌とも呼ばれます。アルコール発酵は酵母が糖を食べる代謝作用によって起こります。蒸留所ではそれぞれ個性に合った酵母を選んで使用しています。


ウイスキーの定義は原料、製法、熟成年数などが各国ごとに定められていますが、基本的な製造の流れは同じです。

定義は「穀類を原料として、糖化、発酵の後に蒸溜をおこない、木樽で貯蔵熟成させてできるお酒」となります。

まず穀物(大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシなど)を、麦芽に含まれる酵素を利用して糖化させます。これをろ過して得た麦汁(マッシュ)に酵母を加えてアルコール発酵させます。するとアルコール度数7〜8%のウオッシュと呼ばれる液体となります。

それを蒸留するとニューポットと呼ばれる無色透明の高濃度の蒸留液が抽出される。それら蒸留液を木樽詰めて数年~数十年、熟成させることによって、風味と色の豊かなウイスキー原酒が出来あがります。

いくつかの樽の原酒を調合し、香味を整えてから度数40数度%程度(銘柄によってアルコール度数はまちまち)まで加水し、瓶詰めされ出荷されます。


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