CRT(Consejo Regulador del Tequila)

テキーラは、原産地呼称によって保護されたお酒であり、どこでも誰でも造れるわけではありません。細かく決められた定義を満たしたものだけがテキーラと認められます。その定義を決めているのがCRT(テキーラ規制委員会)なのです。

以下、テキーラの定義を見ていきましょう。

① 原料

表皮をそぎ取られたアガベの球茎

原料をアガベ・アスール・テキラーナ(竜舌蘭)とすること。一般的にはブルーアガベと呼ばれています。

ブルーアガベは多肉植物の一種で、見た目はアロエに似た大きな植物です。球茎の部分を引き抜くとちょうど巨大パイナップルのようにも見え、その重さはひとつ30~100㎏にもなります。

この球茎(ピニャ) を蒸して糖分を引き出して搾汁したものを、51%以上使い、残りの副原料(砂糖や糖蜜) と一緒に発酵させます。

副材料を使わずにブルーアガベだけで造られたテキーラには必ず100% de Agaveと表示し、プレミアムテキーラと呼ばれています。そうでない上記のものはミクストテキーラと呼ばれることもありますが、CRTではただ単にテキーラとされます。

ブルーアガベがずらりと実っている画像

② 地域

ブルーアガベは原産地呼称で指定されたテキーラ5州と呼ばれる地域(で栽培されたものでなければなく、蒸留も同地域で行われる必要があります。

テキーラ5州とはハリスコ州、グアナファト州、タマウリパス州、ミチョアカン州、ナヤリ州ですが、ハリスコ州、グアナファト州、タマウリパス州の3州、中でもハリスコ州で造られたものが主流になっています。

③ 蒸留回数とアルコール度数

最低限基準は2回蒸留です。中には3回、4回蒸留するメーカーもあるようです。

そして蒸留したものを加水して調整するアルコール度数は35~55%と決められています。実際は40%前後のものがほとんどです。

④ メタノール値

人体には有害なメタノール(メチルアルコール) は果物や野菜などにも微量ながら存在する物質で、テキーラだけでなくほとんどのお酒に含まれています。

普通に飲酒する分には問題にはならないとされる、CRTが定めた含有量は3mg/ml(0.3%以下) ですが、日本の輸入規制ではかなり厳格に1mg/ml以下と定めています。

⑤ メローイング

メローイングとはテキーラの味をまろやかにする認定要素、ようするに水以外の添加物のことです。

規定リストには、カラメル色素や糖蜜、香料、グリセリンやウッド・エクストラクト(木の抽出物)、さらにはハイビスカスやローズの香料などが認定されていますが、その量は全体の1%以下でなければなりません。

⑥ フーゼル油の制限

フーゼル油とは、蒸留の際に高沸点の揮発性成分として得られる留分のことです。

フーゼル油は混合物であり水に溶けにくく、蒸留酒を作った際に油滴として分離し、酒を濁らせたり表面に浮いてくることもあります。

この悪臭のもとになるフーゼル油の量が規制されています。

NOMの表示

テキーラ蒸留所はCRTに認可を受けなければなりません。、それはNOMと呼ばれる番号で管理されています。

蒸留所は認可が下りるとNOMと呼ばれる4ケタの蒸留所番号を与えられ、テキーラの瓶には必ずこの4ケタの番号がNOM1103のように記されています。同じ番号のNOMを持つテキーラは同じ蒸留所産だとわかります。最古の蒸留所はクエルボ蒸留所(NOM1122)で1795年創業です。


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