テキーラについて

テキーラはメキシコのハリスコ州、グアダラハラ市近郊のテキーラという地域(グアダラハラからバスで2時間程度) に1700年代から作られている地酒です。

メキシコにはもともとプルケという、リュウゼツラン(テキーラの原料となる食物) の搾り汁を発酵させた醸造酒が西暦200年頃には存在していました。発酵させずとも、ブルーアガベ(リュウゼツランのこと) の芯の部分で自然発酵されることもあります。大昔に山火事が起きたとき、こんがり焼けたピニャ(土中にあるアガベの球茎) の中心に酒が出来ていたという話もありますが真相はよくわかっていません。

プルケは日本の甘酒のような味をしています。スペインから蒸留技術が持ち込まれると、プルケを蒸留したメスカルが誕生しました。メスカルは1538年の課税に関する最古の記録があります。そのメスカルの中からCRTがk厳重に管理し、その規則に合ったものだけがテキーラと呼ばれます。

※ CRTとはハリスコ州政府の機関で、テキーラの定義を構成する規制委員会のことです。

⇒ CRT(Consejo Regulador del Tequila) に関する詳しい資料はこちらから

生産地域(テロワール)

メキシコ内のテキーラを製造している地域の分布図

テキーラは、原産地呼称によって保護されたお酒で、ハリスコ州テキーラ村とその周辺の指定された州(グアナファート州、タマウリパス州、ナヤリ州、ミチョアカン州) で造られなければなりません。ハリスコ州を含めたこの5つの州をテキーラ5州と呼びます。といっても、現在流通しているテキーラのほとんどがハリスコ州で造られています。

テキーラのテロワールはグアダラハラ市街を中心にして西側(ローランド) と東側(ハイランド) に分かれます。

パジェス(西側)

アガベの球茎(ピニャ) は小さめ、繊維質で固いのが特徴です。樽詰めは新樽を使うことが多く、熟成させると色は濃く樽の香りも強いです。味は辛口でシャープです。

代表銘柄: クエルボ、サウザ

1700年代から続く伝統的なテキーラ地域で、蒸留施設および畑が世界遺産にも指定されています。

ロスアルトス(東側)

土は鉄分を含んだとても肥沃な地で、大きく育ったピニャは糖分が豊富でジューシーです。

樽詰めは中古樽を使うことが多く、色や樽の香りも穏やかで原材料のアガベの味を十分に感じられます。味はまろやかでスムースです。

代表銘柄: パトロン、ドンフリオ

製造法

テキーラの原料はリュウゼツランというアロエに近い多肉植物で、英語ではブルーアガベ、メキシコではマゲイ、正式名称はアガベ・アスール・テキラーナ・ウェバーといいます。

生産地域と同様、原料のブルーアガベもテキーラ5洲産でなければなりません。

原料の加熱・搾汁

まずブルーアガベの球茎であるピニャを加熱します。加熱には古典的なレンガ作りのオーブンを使い48時間ほどかけて蒸しあげさらに丸2日かけて冷ます方法と、アウトクラベと呼ばれる巨大な圧力窯で、6時間ほどで蒸しあげてしまう二つの方法があります。

蒸されたアガヴェはシュレッダーで粉砕されて絞られます。

発酵

粉砕されたピニャの汁はモストと呼ばれます。モストは加水されてタンクに移され発酵に入ります。

発酵に使う酵母は自然発酵、秘伝の酵母、ワイン用の酵母、パイナップル酵母、パン用の粉末酵母、ヨーグルト酵母など、メーカーによってさまざまです。

発酵日数は通常3日、発酵日数が長いとバターのような香り、短いとパイナップルの香りがテキーラに現れます。

蒸留・熟成

発酵が進みアルコール度数が7%ほどになると、単式蒸留機で蒸留を最低2回(CRTの定義による) 行います。

ヘッド(初留) とテール(後留) は味が悪いので5%づつほどカットして捨てます。蒸留が終わるとアルコール度数は50%を超えます。 これにフィルターをかけて加水したものがテキーラブランコです。熟成庫で最低60日間樽熟成させるとレポサド、1年以上熟成したものがアネホ。3年以上がエクストラ・アネホです。

樽の酒類も多く、一般的なのが中古のバーボン樽。フランスからのコニャック樽やスペインのシェリー樽、カリフォルニアワイン樽、リチャーしたワイン樽などもあります。他にはフレンチオークなどの新樽も使います。いろいろな中古樽をブレンドする蒸留所や最後に違う種類の樽でフィニッシュするなどさなざまです。

⇒ 樽に関する詳しい資料はこちらから

メスカル

テキーラの母とも呼ばれているメスカルはテキーラと同じく、多肉植物であるアガベを原料に造られるメキシコ産の蒸留酒です。約500年前からメキシコで親しまれ、その製法をほとんど変えずに現在に至っています。

今から250年ほど前のメキシコにまだテキーラは存在せず、メキシコの蒸留酒といえばメスカルだったのです。その後別々の歴史を歩みながら進化したのがテキーラで、伝統を守り続けたのがメスカルといえます。

原料はテキーラと同じくリュウゼツランなのですが、テキーラがブルーアガベ1種類なのに対して、メスカルは52品種ものアガベの中から適宜使用されます。

産地もテキーラの5州に対してメスカルでは9つの州で生産されています。

オアハカ、ドゥランゴ、サカテカス、タマウリパス、グアナファト、サンルイスポトシ、ミチョアカン、ゲレロ、プエブラの9州

メスカルは熟成させないものが多いため、そのほとんどが無色透明です。そしてピニャを糖化させるのに土に埋めて蒸し焼きにするので、独特のスモーキー香味が加わります。


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