ウオッカについて
トウモロコシや小麦、大麦、ライ麦などの穀物を原料としてそれらを醸造、蒸留し、活性炭フィルターなどで濾過処理した酒。ほかのスピリッツと比べるとより癖がなく、ニュートラルと言えますが、ライトな感覚の中に微妙な風味や爽快感があります。
モスクワ公国(1283~1547年の記録にウオツカに関する記録があり、12世紀にはロシアの地酒として飲まれていたようです。また11世紀頃のポーランドにはすでに穀類からつくる蒸留酒が存在していたとも言われています。
しかし、ウオツカがいつ頃からつくられていたかは明確にはわからないようです。
ただ発祥の地はポーランドかロシアといわれていて、両国の間で1982年に国際調停裁判で争われロシアが勝利しています。
穀類を原料にして蒸留酒を造るといっても、その当時に新大陸原産のトウモロコシやジャガイモがあるはずはなく、ライ麦から造ったビールかハチミツ酒を蒸留していたのではないかと推測されています。また近隣の東欧、北欧の地でも似たようなスピリッツが造られていたようです。
ウオツカの歴史
19世紀はじめに連続式蒸溜機が発明される以前は、祖末なポットスチル(単式蒸溜器) で蒸溜していたため雑味が多く、ハーブ類で香りをつけることも多かったようです。
1794年頃、できあがったウオツカを白樺炭で濾過する方法がロシアで考案され、さらには19世紀半ば以降に連続式蒸留機が導入されました。このふたつの技術によって、クリーンで臭みが少なく微妙な風味を持つ現在のウオツカの原型ができあがったのです。
ウオツカが広まり、いまのように世界の国々で製造されるようになったきっかけは、1917年のロシア革命以降のことです。革命により亡命した白系ロシア人が、亡命先の国々でウオツカ製造を始めるようになったためでした。
とくにアメリカでは1933年に禁酒法が撤廃されるとウオツカ製造が盛んになり、それによってウオツカをジュースで割るカクテルが流行するようになりました。1970年代になると消費量がバーボンウイスキーを抜き、アメリカの蒸留酒部門ではウオツカがトップの座に着きました。現在、ウオツカ生産量がいちばん多い国はアメリカです。
ちなみにウオツカの語源は、『命の水』のロシア語ズィズネーニャ・ワダ(Zhiznennia Voda)
時代とともにズィズネーニャが落ちてワダとなり、その後ウオツカと呼ばれるように。いまでもロシアでは、蒸留した酒全般をウオツカと呼ぶことが多いのです。
ウオツカの製法
ウォッカの原料はジャガイモと言う人が多いようですが、現在のウォッカの主原料はトウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦で、イモ類の原料はほとんど使用されていないようです。
糖化、発酵
まず、穀物を煮てフィルターにかけたのち、酵母(イースト) を加えてモロミを作り発酵させます。
蒸留
醸造液を連続式蒸留器で蒸留し96%のグレーンスピリッツ(ニュートラルスピリッツ) を造ります。これがウオツカのもとになります。
できたスピリッツはフーゼル油濃度と蒸留回数によって上からリュクス、エクストラ、上精製の3等級に分けられます。しかし、必ずしも高級ウォッカにリュクスが使われるとは限りません。
ウォツカの味を左右するのはむしろ、この次の工程にある加水の際に使用するその土地の源泉水と、加水後に行われる添加物や濾過の方法が大きいと言われている。
各メーカーは蒸留所からニュートラルスピリッツを買い付け、アルコール度数が40~50度になるように天然水や精製水などを加えます。
添加物、濾過
ウォッカにほのかな甘味を与えるためにハチミツや果糖などの糖分を加えます。フレーバーウォッカの場合は薬草を加えたりフルーツに漬け込んだりりします。
濾過は製造上、最も重要な工程です。各メーカーごとに活性炭や砂、銀、その他素材を使って丹念に濾過を繰り返し、雑味のないピュアなウォッカを造ります。
そうして出来あがったウオツカは、仕上げのフィルターを通したのちにボトリングされて出荷されます。
生産国による原料の違い
アメリカ
主にトウモロコシが原料です。極めてクリーンに仕上げたドライなタイプが多いです。ちなみにスミノフは六棟ものフィルターを通したのちに製品化されます。
フレーバード・ウオツカも多彩。
ロシア
数えきれないほどの銘柄があり、クリーンでニュートラルな製品からやや甘味のあるものまであります。フレーバードも含めるとまさに多種多様です。
ポーランド
原料はライ麦。ほのかにライ麦の風味が感じられるのが特長。
フィンランド
大麦が原料のものが多いようです。フィンランディアは有名です。
スウェーデン
小麦が使用されています。アブソリュートが有名です。
日本
原料はトウモロコシで、白樺炭で濾過し、まろやかで爽快感があるのが特徴です。